2011年11月5日土曜日

秋の味覚を味わう

11月5日のプログラム、テーマは「秋の味覚」でした。
まず、午前中は鮭トバづくりから始まりました。ジャガイモなどの畑の幸との交換でいただいた“秋味”をみんなで3枚におろし、まずは塩漬けにします。 鮭トバづくりの下ごしらえとしては、15%程度の塩水に一晩漬け込むのが一般的なようですが、今回は直接塩をすり込んだ状態で4時間ほど保管する方法で行いました。

その後は畑に出て、ニンジンやダイコン、ゴボウ、ネギなど「秋の収穫作業」です。 土が固いためかダイコンはなかなか大きいのができないのですが、どれも瑞々しくて美味しいものが獲れます。6月に播いたニンジンやネギも、香りの強い立派なものがたくさん獲れました。が、何と言っても今回の収穫のメインは「ゴボウ掘り」。北海道弁で、子どもが駄々をこねることを「ゴンボ(ゴボウ)掘る」と言いますが、ゴボウ掘りはまさに手に負えないほど大変な作業です。特にこの畑はかなり粘性の高い土なので掘るのは本当に大変なのですが・・・この手の作業は、何故か気持ちが乗り始めるとどんどん体が動きます。「もっと上手に掘ってキレイなゴボウを収穫しよう!」という気分になってくるのです。掘り上げたゴボウは、土の性質には合っているのかエグみが少なく生で食べても十分美味しいものでした。

昼食のメインは、先ほどの鮭の「アラ」を使った「アラ汁」です。
ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ネギ、ジャガイモといった具もすべて畑の産物、味噌も昨年仕込んだ手前味噌で、かなりの「高自給率」な昼食となりました。
もっとも、「自分たちで育てて収穫した野菜たちを食べる喜び」は、自給率云々と言った数字の話よりもずっと貴重な気もします。畑から掘って雨水で洗っただけの野菜をかじった時の、刺激的な香り、味覚が伝えてくる「生命力」。それらを感じることは、何にも替え難い「収穫」なのかもしれません。

午後のプログラムの前半は座学。『人間と農』と題して、人類の食料調達の歴史をあらためて学びました。 長い狩猟採集時代を経て「農」を獲得する経緯やそれによって得たもの、失ったものを知ることは、これからの人間の在り方を考えるときの手がかりになるはずです。 近代の「化学化」「機械化」が進んだいわゆる大量生産型の慣行農業に多くの問題があることは事実ですが、単純に化学肥料・農薬が悪いなどとは言えないことも、農耕が生まれて発展した歴史を思い起こすと見えてくるのです。客観的な視点で歴史をとらえた上で、「ではこれから自分たちがどうしていけばいいのか?」を考えることが重要なのでしょう。

午後の後半は「切り干し大根づくり」でした。
先ほど収穫した大根を千切りや輪切りにし、干し網の上に並べます。非常にシンプルですが、大根がたくさん獲れて冷たい風が吹きつけるこの時期ならではの作業です。 包丁づかいが達者な方が揃っているので、あっという間に大量の仕込みが出来ました。 午前中に塩をすり込んでおいた鮭も、軽く水洗いして一緒に干して、すべての仕込みが終了。 後は乾燥を待つばかりです(毎日、撹拌するなどの作業はしていきます)。

案外簡単にできる保存食づくり、「家でもやってみます」という感想が多かったことを嬉しく思いました。 体験塾のプログラムは、単なる知識ではありません。あくまで日常に結びつけていくためのものだと考えています。 札幌などのアパートやマンションのベランダで、みんなが干し野菜を作っているなんて、素敵な風景だと思いませんか。

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