2010年11月26日金曜日

納豆って自分で作れるの?

9月に稲刈りをし、先月は美味しい新米をいただき、そして今月はその稲の副産物を活用したものづくりに挑戦です。

まずは納豆づくり。束にした稲わらを沸騰させたお湯で煮て、その中に煮大豆(本当は蒸したほうがいいらしい)を入れて40度くらいに保温します。翌日には糸を引いてうっすらと納豆の匂いが・・・。納豆ってこんなに簡単に作れるんだ、と一同感動。それにしても、最初に食べた人はきっとアクシデントでできたものを捨てるのがもったいなくて食べたに違いないけど、勇気があったよねと感心することひとしきり。

外ではもみ殻燻炭づくりもやりました。ドラム缶の中で火を焚き、もみ殻燻炭機をかぶせてその上に籾をざっと入れます。去年は畑で野焼きをしましたが、ずっと注意して見ていないと一気に灰になってしまうし、風の強い日にはできません。この方法だと、割と放ったらかしておいても大丈夫。3時間くらいでだいぶ炭化してきたので煙突をふさぎ、水を注ぎました。


燻炭したもみ殻は多孔質で土中に入れると微生物の住処になり土の微生物相を豊かにします。ケイ酸やミネラルが豊富で、作物の耐病性を高める効果もあるそうです。ここでは畑の粘質土の改善や、育苗培土に活用します。

美味しいお米を食べて終わりじゃない、残りをゴミにするなんてもったいない!あますことなくその資源を活用した先人の知恵に感謝ですね。


最後は稲藁でしめ縄づくりでしめくくり。昔は男たちの仕事だったとか。北海道で売られているしめ縄は材料にスゲが使われていますが、開拓初期、稲作を行っていなかったころ湿地に生えているスゲで作った名残だそうです。自家製稲わらの手作りしめ縄を飾って迎える新年は気持ちよさそう。これですっかり年の瀬の気分になってきましたね。


その他、大根と鮭の保存食にもチャレンジしました。大根は思ったよりも大きく育たなかったので漬物を諦め、切干にしました。鮭は前の週、オホーツクで釣った魚(オス・メス)をいただいたものです。譲ってくれたのは最近お友達になった小樽の釣り具屋さんで、ハイシーズンには一日で100匹近く釣ることもあるというので、来年はぜひ海の幸と畑の幸を交換するイベントをやりましょうと盛り上がっています。マジメに素晴らしいエクスチェンジだと思っています。
今回は、下した鮭をタレに漬けて一部はスモークに、残りは寒風に干してトバにすることにしました。猫やキツネに取られないように悩んだ結果、2枚の網戸を使って干しました。上手にできるかな?

2010年11月24日水曜日

映画「不安な質問」

レイさんの講義に続いて、先月の座学「自給の意味」をお話いただいた明峯哲夫先生のお薦め映画「不安な質問」を鑑賞しました。何を隠そう、明峯先生らが1970年代に茨城で取り組んだ「たまごの会」のドキュメンタリー映画です。

自給農場を作ろうと、茨城の農村に松林を切って開墾し、家を建て、共同生活をしながら野菜やコメを作り家畜を飼い、東京の会員宅に配送する。東京の会員は彼らの生産したものをあますところなく食べてその残飯を返す。そんな生活が生き生きと描かれています。豚の頭を美味しいねと食し、山のような残飯が大なべでぐつぐと煮られて豚の餌になるシーンは圧巻です。

この農場では、レイさんの言う「生産者と消費者の壁」がないことに気づきます。両者は互いに相手がいないと成り立たない存在であり、栽培から経営のすべてを共有しています。健康食品の店で有機野菜を買うだけでは、まだまだ消費者としての立場を変えることにはならない。より積極的に一歩踏み込んで生産の現場に近づくことが重要。そして、出来上がったものを工夫しながら上手にいただくために都市住民がライフスタイルを変革していくことが必要だと感じました。

2010年11月22日月曜日

持続可能な食と農(エップ・レイモンドさん)

体験塾最終回の座学講師はエコビレッジがいつもお世話になっているメノビレッジのエップ・レイモンドさんでした。レイさんは、メノナイト教のコミュニティで育ち、若いころ、急激に大規模化するアメリカの農業がコミュニティの人間関係や地域の自立を崩壊たらしめる様子を見て、その在り方に強い疑問をもち移住を決意しました。現在、家族や会員さんに支えられながら長沼町でCSA(Community Supported Agriculture)を営んでいます。

「15年前にこの土地にやってきたころは、言葉もわからず肥料袋の表示も読めず苦労したけれど、近隣の方にいろいろと助けてもらった」レイさんは当時を振り返って話します。いい農家になるということは、作物を上手に作ることだけでなく、隣人といい関係を作ること、そして社会をよくしていく活動に携わることも重要だと、地域の交流行事や市民活動にも積極的です。

「農家は食べ物すなわち人間の生命の源を作る人。農地は自然や他人との関係をどうやって育んでいくかを学ぶ大切な場所」。だから、農家を商品を生産するという役割で括り、食べる人を消費者と呼んでただ「買う」人にしてしまっている現在の消費社会に大きな抵抗があるとレイさんは言います。
また、農地は食べ物を恵んでくれる場所であると同時に、様々な人の出会いや学びの場でもある。だからメノビレッジでは、研修生やボランティア、幼稚園児、近隣の人々などいろいろな人を気持ちよく迎える場所にしていきたいとも話してくれました。

さらにレイさんは、近代の政治や経済が、小さな地域単位の文化や個々の人間の幸せをまるで無視した全体主義的な発想に基づいていることを指摘。伝統的なかつての地域の文化や人々の知恵は、世代から世代へ暮らしの中で経験的に受け継がれていましたが、今ではその流れが閉ざされ、効率という視点だけで全体を画一的に統治しようとする政治の影響で、意識的にそれらを継承しよう、育てようと思わなければ完全に失ってしまいます。

最後にレイさんは、問題に異議を唱える反対活動も重要だけれど、一方で日々の生活の中でそれらにどうやって対応しながら、自分が現実的にどうよく生きていくかを考えることも大事であることを強調しました。毎日の生活の中で意識しながら隣人や地球とのいい関係を築いていくこと、それがよい社会を作ることであり、よい政治の基本だとレイさん。メノビレッジの人びとが作物を作ることは、まさにその繰り返しなんだなあと、感心させるお話でした。

2010年11月2日火曜日

収穫祭、大盛況

青空に恵まれた10月最後の日曜日、エコビレッジの収穫祭が行われました。

オープニングでは、今年の体験塾やHEPPの取組を報告し、畑や田んぼでの栽培に初めて挑戦した会員さん方から感想をいただきました。展示されている写真やコメントからも、半年という短い間にたくさんの発見や感動があったことがわかります。

今年も、お料理は豪華版です。米、野菜はすべて自家製。手作り料理がずらりと並びました。「具がなくてもご飯(おにぎり)だけで美味しい」「野菜が甘い」と大好評でした。手作り味噌(今年1月仕込み。本日初賞味)の鍋はあっという間に売り切れて、食べられなかった方、ごめんなさい!

姫武将の装束は、松前で地域興しのお手伝いをする「田舎で働き隊(農水省)」の研修生です。今年の収穫祭では、道内各地(松前、三笠、士別、東川、中頓別)の研修生たちが、準備や当日の運営に協力しながら、ご当地クイズやクラフト体験ワークショップでイベントを盛り上げてくれました。
そのほか、外では足踏み脱穀・唐棹脱粒の体験コーナーに、あんちゃん得意の羽釜クッキング。中では坂本先生ご夫妻が本格的な野点もしてくださいました。オーガニックお菓子やパン、フェアトレード雑貨の物販、占いなど中も外も大賑わいでしたね。

午後は屋外で音楽ライブです。この日は、奇跡的な温かさに恵まれ、みな爽やかな秋空と音楽をぞんぶんに楽しみました。地元長沼町内からは、アイヌやアボリジニの先住民楽器演奏と、アメリカ南部発祥のブルーグラスの2組。田園風景にばっちりハマった素敵な演奏でした。ススキノから駆けつけてくれたジャズギター&ヴォーカルには思わず道行く人が足を止めて聞き惚れていたし、ステージの最後を飾った「萌木女学院」は、田園風景にはおよそマッチしない異色なコスチュームとパワフルなパフォーマンスで、この日最高の人だかり。 子どもから大人まで手を振って一緒に盛り上がりました。

収穫祭の最後は今年1年のプロジェクトをまとめたフォトムービーで幕を閉じました。思い返せば4月のまだ冷たい風の吹く中、がちがちの土を起こして畑開きをしたんだな~。部屋が寒くて苗が育たず、こんなんで今年は実りがあるんだろうか、と不安に思ったことを思い出しました。ビートルズの曲に合わせて1年(半年)のシーンを振り返りながら、こうして収穫を祝うことができた嬉しさに、思わず涙が出そうに・・・。

ここまで共に活動を育ててきた仲間たちをはじめ、いろいろな場面で支えてくれた地域のみなさんに心から感謝します。ありがとうございました。来年もよろしくね!