2010年9月27日月曜日

0926 待望の稲刈りです!

今日はいよいよ稲刈りの日です。

今春は低音で苗の育ちが悪く、田植えが遅れたばかりか、その後も分けつ(茎基部で枝分けをすること)が進まないという厳しいスタートを切りました。ところが7,8月の予想外の猛暑がみるみるうちに稲を成長させ、全道的に豊作という噂ですが果たしてどうでしょうか。メノビレッジでは昨年並みという坪刈りの結果が出ており、私たちの田んぼも実際の収量は最後までわかりませんが、とにかくどれだけ獲れても大切に育てた稲は可愛いものです。

当日は、前日の寒空が一転してぽかぽかとした天気になり、気分よく作業ができました。誰の行いがいいのか、青空すら顔を出し冗談も出るほどの余裕です。稲藁を使って束を縛るのも、慣れれば簡単。みんな上手に縛れるようになりました。

思い返せば、昨年は、陽が沈んだ後も車のライトで照らしながら、寒い中頑張ったことが嘘のようです。予定より大幅に早く終わり、札幌から届いた美味しい昼ご飯をゆっくりと味わいながら食べることができました。今年は、昨年の苦労を反省に、面積を3割くらい減らしたのですが、それにしても全体的に非常にスムーズな進行だったと思います。前はハサガケの方法が最大課題だったので、今年はいろいろと協議と研究を重ね、準備万端で臨んだのが勝因でしょう。

掛けとか棒掛けという東北地方の伝統的な方法にも挑戦しました。この妙な掛け方で果たして上手く乾燥できるのかしら?という不安も若干ありますが、自分たちの環境(自然や人的、財政的な条件)にあわせて、最も環境に負荷をかけずに効率的な技術を編み出す、それが体験塾の目的です。いろいろ試してだんだん上手になりたいものです。


最後は美しいハサガケの前で記念撮影。みんな満足気ないい笑顔ですね。

2010年9月22日水曜日

0920 ハーブの使い方いろいろ

夏の間中私たちの目と胃袋を楽しませてくれたガーデンもそろそろ終わりに近づいています。かぼちゃ(プッチーニ)も全部収穫しましょう。お昼に天ぷらにしたら甘くて美味しかったです。マリーゴールドやブルーサルビアはまだ蕾がたくさんついているので、すっきりと整枝してやりました。こうすればまだ1ヶ月くらいはきれいに見られる状態を維持できます。

問題は茂りに茂ったハーブ類です。レモンバームはばっさりカットして、お茶用にドライリーフを作りました。いらいらに効果的だそうです。ローズマリーは鷹の爪やにんにくと一緒にオリーブオイルに漬けると魚貝類や肉の香りつけに最適。一日に一度「おいしくな~れ」ち瓶を振るところがミソとか。タイムは殺菌力が強いのでミントと一緒にドライを粉にしたものに塩を加えて歯磨き粉にするといいそうです。カレンジュラも乾燥させてオイルで抽出すれば、火傷や皮膚のただれの特効薬に。
1年間せっせと草取りしたスギナは、リカーに漬けてスギナの化粧水を作りました。ちなみに、私は左腕だけに毎晩つけていますが、しっかり美白効果が現れています。カモミールを加たら気分も落ち着きそう・・・。スギナはきれいに乾燥させるのが難しいけれど、文字通り余るほどある資源で美しくなれるなら最高ですね。
え?その前に、ちゃんと日焼け止めを塗れって?

2010年9月19日日曜日

種取り物語

体験塾の畑コースでは、4月から「タネ」を大きく取り上げてきました。『園芸教室』とは違いますから、「どのような種が良いのか」とか「上手く発芽させるにはどうしたらいいか」といった、「栽培する側(人間)の観点」から見た栽培技術だけでなく、「植物にとって種子や発芽がどのようなものであるのか」を一緒に学んできたつもりです。さらに、「在来種」や「固定種」と「F1品種」「一代交配品種」の違い、何故自家採種を大事に考えるのか、などについても考えてきました。

今回の畑実習では満を持して「種取り」を行いました。
アブラナ科など二年草のものは難しいため、トマトやキュウリなどの果菜類のみの採種です。 採果してから10日ほど追熟させた実を割って、ゼリーに包まれた種子を取り出します。本当はしばらく発酵させた方がゼリーを洗いやすいのですが、十分熟れているので大丈夫と考えてトマトについてはそのまま選別(水に浮いてくるものを除去)し、洗って乾燥させました(キュウリのゼリーはやはりそのままでは取れなかったので、2日後に洗いました)。

豆類はもちろん、果菜類の採種も意外と簡単です。難しい技術はいりません。もちろん、タネ用にする株や実を選んだり大事に熟させたりという手間はありますが、ちょっと注意すれば誰にでもできることですし、自家採取を繰り返すことで自分の畑の環境や土壌に合う品種、自分の好みに合う品種を自分で固定していくことができます。

今回の種取り実習ではトマトの種を乾燥させるところまでしかできませんでしたが、畑コース終了時には、今回エコビレッジライフ体験塾の圃場で育てた作物のタネ(キュウリ、ナス、ピーマン、豆類など)をそれぞれお持ちいただく予定です。

にゃんこ登場

                 
コモンハウスに猫が来ました。

無類の猫好きの私が、冬場のネズミ対策という言い訳をしてもらってきたのです。まだ2ヶ月くらいの子猫で、コウちゃんとトッチ君と名づけました。二人とも美形でしょう?

コウちゃんは好奇心旺盛。やんちゃで人懐っこい性格。トッチ君は警戒心が強く、押しが弱いためにご飯も玩具もコウちゃんに取られてしまうのですが、二人はとても仲良しです。トッチ君は最初は触れさせてくれなかったけれど、だいぶ懐いて今では抱かれるようになりました。

二人ともネズミ退治、頑張ってね!

収穫の秋

今年は夏が長く、珍しくこの時期になっても果菜類が好調です。トマト、ズッキーニ、ナスがまだまだ生っていて食べきれないくらいです。キュウリもここに来てやっと終わりの気配ですが、今年は嫌というほどキュウリを食べました。

馬鈴薯は昨年、疫病にやられて7月末に全滅した苦い経験があります。今年は9月に入っても葉っぱが青く、じょじょに収穫していますが、去年は特別に多雨だったからか、今年は畝をたてたのがよかったのか、腐れは少ないようです。もっとも今年は春先の低温でまだ根が十分でないうちに一気に高温になり、成長がうまくいかなかったらしく、大きくても中が空洞になるなど、プロでも不作の噂が聞こえています。粘土質のこの辺りの土壌では、そもそも馬鈴薯は向いていないとも言えるでしょう。

かぼちゃも、繁茂した葉に比べて実の数は少ないですね。受粉がうまくいかなかったのでしょうか。F1から育てた3代目かぼちゃなので色も大きさもまちまちです。果たして味はどうでしょうか。(ウチの農場長曰く、味は二の次、まずは保存性で選ぶのだそうですが・・・)
同じくとうきびも、高温障害なのか、粒が揃わない、先まで実が入らないという傾向が見られます。でも、小さくても多少歯が抜けていても、食べたら美味しいから許しちゃいますよね。

0919 稲刈り準備

今年もいよいよ稲刈りの季節を迎えました。近隣農家では、例年より10日以上早く、9月半ばから稲刈りが始まっています。今年は豊作という周囲の評判ですが、さて私たちのお米はどうでしょう。

エコビレッジの田んぼは手刈りで天日干しをします。昨年は初めてのハサガケの立て込みに大変苦労しました。というのも、わずか1反の田んぼと甘く見ていたらとんでもない、全体で約800キロ(籾摺り後重量で約400キロ)の重量の稲藁を乾燥させるのに、どういう構造のものがどのくらいの延長必要なのか見当もつかず、途方に暮れることになったのです。ネットなどで調べる限りでは、地方によっても形状は様々で、その土地の気候風土に最も合ったものが作られていたのでしょう。結局、いろいろな人の話を聞きながら、手持ちの資材を組み合わせて、何とか落とさず倒さず乾燥することができましたが、課題も残りました。

今年はその経験を踏まえて、事前に検討を重ね、単管を使ってハサを建てました。棒掛けとか杭掛けと呼ばれる方法にも挑戦します。秋田など東北地方の一部では伝統的な方法だとか。こんな単純な掛け方でちゃんと乾燥するのかちょっと疑問ですが、様々な手法を参考にしながら、私たちの環境(自然、人的、財政的な条件)にあった、最も環境負荷の少なくて効率のよい方法を編み出すのが体験塾。いろいろ試してベストな方法が見つけたいと思います。

2010年9月2日木曜日

0829 「鶏を食べるまで」

29日(日)の総合コース実習では、鶏の「屠蓄」と「精肉作業」を行いました。参加者はちょうど10名(+子どもが2人お手伝い)。メノビレッジさんから、卵をあまり産まなくなった鶏を10羽いただき、生きた鶏を食べられる「お肉」の状態にするまでを体験したのです。


「是非体験してみたかった」という方から、できるかどうか自信がなく「参加すること自体迷った」という方、「見るだけにしようかとも思った」という方など思いは様々でしたが、結局全員がすべての作業を行うことができました。

1羽目の首を落とす瞬間には、当然、かなりの緊張感が参加者を包みました。吹き出す血、なかなか息絶えずに動き続ける鶏の体。首を落とす役と鶏を押さえる役が順にまわってくるのですが、押さえている間の鶏の温かさや筋肉の動き、悲鳴など、まさに“生きているものの命を奪った上で私たちは日々食べている”という当たり前の(けれども日常では触れずに済ましている)現実をあらためて突きつけられたように思います。 思わず祈ったり、「ごめんなさい」という言葉が口をついて出た方もいましたが、生き物の命を絶つ場面では自然な行為だと思いました。
一方で、数をこなすうちに慣れてくるという感想もありました。

血抜きした鶏を熱湯につけて、羽をむしります。その段階で“鶏の死体”は、普段見覚えのある“鶏肉”に近づきました。その後の体から内臓を取り出す作業は、体内の仕組みを学ぶ貴重な機会でもありました。そして、最後はそれを“もも肉”、“胸肉”、“ササミ”、“手羽”、“ガラ”に分けるのですが、これがなかなか難しく、上手に刃物を入れないとキレイなお肉にはなりません。うまくできずに肉がボロボロになってしまった方もいたようです。それでもなんとか精肉まで行い、手羽を燻製にして早速みんなでいただきました。


作業後に行った感想のシェアリングでは、「初めはかなり抵抗があったけれど、案外できるものだと思った」という意見が多く、「作業しながらだんだん“自然なことをしている”感覚になった」という方もいました。また、一同に「屠蓄というのが大変な仕事であり、高度な技術で行われているのだと実感した」と“仕事の技術”に視点が向いたのも興味深いところです。

まずは“知り”、体験を通して“実感する”。この積み重ねが大切だとあらためて感じた屠蓄実習でした。 ともかく、参加した全員が、“食べるために殺すことは決して残酷なことでも気持ち悪いことでもない”、と実感できたのが良かったと思います。
「こんなに大変な作業を伴うなら肉はそんなに食べなくていい」「捨てたり残したりすることはできない」「一般に販売されている肉は安易に手に入り過ぎ」という感想もありました。

この体験が日常にどんな変化をもたらすのでしょうか。コモンハウスでは、今回の実習のおかげで、珍しく“お肉三昧”の毎日です。たくさん卵を産み続けた高齢の鶏さんなので肉はやや(いやかなり)硬いのですが、ありがたく美味しくいただいています。

2010年9月1日水曜日

0829 「木の花ファミリー」からゲストを招いて公開講座

今月の公開講座は、静岡の「木の花ファミリー」から古橋道代さんをお招きしました。

木の花ファミリーでは約70人が生活を共にし、食については調味料含めほぼ完全に自給自足しています。もちろん有機です)農産物や各種加工品を宅配や市場で販売して収益を得ており、収入は全員で均等配分します。一つの財布で生活全体を分かち合い、育児や教育も家族単位ではなく、コミュニティの子どもとして育てられるなど、文字通り大きな家族として暮らしている様子に驚嘆しました。古橋さんはエコビレッジにとってもっとも大切なことはグルー(共通の価値)が明確でメンバー間で共有されていること、木の花では協調の精神と自然と共生する生き方がそれだと言います。

私有財産がほとんどない共産的な仕組み、毎晩行われる会議などは一般の人びとには極端と映るかもしれません。自我が強く、欲求が多い私などは、正直言って、自分のお金はともかく自分の時間がないことに耐えられないだろうなあと感じました。しかし、出資額や能力に関わらず、対等な関係を保ち、それぞれが満足してかつ団体としてまとまるためには、表面的な協調や依存関係では破綻するのは明らかです。実際、私が訪ねたヨーロッパのエコビレッジでも精神性で結ばれている団体、共有する部分が大きい団体ほど、規模も大きく長く存続しているという印象を受けました。逆に、自由度が高くエゴを認めようとする集団では、構成メンバーの入れ代わりが激しく、組織として安定性、発展性に欠ける傾向があります。真の信頼を築き、目標を遂行するためには、コミュニティに対する相当のコミットメントとネガティブな感情を含めて正直に表現しあえる関係性が不可欠なのだということもよくわかります
一方、緊密な関係性を目指すコミュニティでは閉鎖的になる側面もあります。木の花では、心をわずらった人を始め、一般ビジター誰に対してもウェルカムでオープンな姿勢がすばらしいと思いました。田畑の多くを無償で借りていること、新規就農者の研修の場にもなっていることから行政や地域住民とも良好な関係を保っていることが伺えます。

古橋さんはグローバル・エコビレッジ・ネットワークの日本代表やエコビレッジ・ジャパン・ネットワークの共同代表も務めており、国内外の事例にも通じており、今回は、埼玉の新しき村(武者小路実篤)のような古いコミュニティから、最近増えている建築家主導の都市型エココミュニティまで様々なレポートをしてくれました。ハード重視、ソフト重視、都市型、農村型、いろいろなタイプがあるようです。それぞれのメンバーの価値観や地域環境にあったものがそこここで立ち上がって、互いに支えあうことが望ましいのでしょう。

エコビレッジライフ体験塾では自給的生活やコミュニティに必要なスキルを学んだり情報を収集しながら、将来の実践に一歩ずつ前進したいと考えています。私は関わる人々が、創造の過程に、できるだけ最初の段階から主体的に参加し、メンバーのアイデアや希望を持ち寄った形で全体のビジョンを作りたいと思っています。私たちのグルーは何なのか、深く考えさせられた講座でした。