2010年6月30日水曜日

0627 第3回総合コース

午前中は「農薬」についての学習をしました。農薬は有機農業推進派から見ると、「悪いもの、排除すべきもの」の象徴と捉えられていますが、果たして農薬の「何」が「どう」悪いかを説明しろと言われて、正確に答えられる人は多くないでしょう。これは、遺伝子組み換え作物、化学肥料、その他いろいろなテーマについて言えることだと思います。もちろん、私だって農薬や遺伝子組み換えには反対の立場をとっていますが、何故そうなのかは客観的に明らかにできるようにしたい。「直感的に不自然なもの、怪しいと感じるものは避けるべきだ」という答えも正しいけれど、相手の怖さを知らずに、いたずらに恐怖だと教えることは、ともするとバランス感覚を失った行動を導きかねません。なぜ必要になったかという背景を知ることで、「こうすれば要らない」という主張もできます。

環境問題の多くは、情報の分析力やトータルで合理的な判断が必要だと思います。マイバッグを持って大量に買い物をしたり、ハイブリッドカーでがんがんドライブをしては環境負荷を減らすことにはならないし、あるいは割り箸のように一見環境に悪いと思われるものも、長い目で見て森林資源や地域産業の保全につながるという観方もあります。リサイクルが免罪符のようになって新たな無駄を生み出したり、重箱の隅をつついている間に大きなマイナスポイントを見逃す危険性もあります。

イギリスの大学や環境イベントでは「何」が「どのくらい」負のインパクトがあるか、というディベートをよくやりました。すべての事象を「エコフットプリント」だけで判定するのはどうかと疑問に思うこともありましたが、感情的になって大事な視点を欠かないように注意すべきだと思います。
もっとも、「あれはここが悪い」と他人の欠点ばかりをあげつらった議論に終始することだけは避けたいですね。100点は取れなくても少しでもよい方向を目指していきたいもの。正しい知識を身につけようという努力と同時に、「いい」と思われることはまずやってみる、という姿勢も大事だと思います。
エディブルガーデンもその一歩。自ら作物を作るのは前向きなアクション、自然への観察力はもちろん、いろいろな知識や分析力を必要とする行為だとつくづく思います。今日の実習では柳フェンスを完成させ、そこにピーマンやかぼちゃ、ナスなどを植えました。柳が乾燥していて施工に苦労しましたが、花や野菜が入ると、すっかりガーデンの風情に・・・。

2010年6月29日火曜日

0626 夕陽を見ながら音楽のひととき

講義の後は、ガーデンを眺めながら外で食事をしました。
アフリカのサバンナで見られるような夕陽が沈みます。何て、大きくて赤い夕陽!
「長沼の太陽や月は札幌より大きい」と言ったら「高度の問題でしょ」

ん?そっか、そういうことか・・・。確かに町では高いビルがあって、地平線に沈む太陽も見えないし、月も高く上った位置でしか見えてないのでしょうね。

たまたまこの夜は月食で、不思議な月明かりを浴びながら、たまたま訪れていたムビラ(アフリカの民族楽器)奏者の二人が演奏をしてくれました。何となく幻想的でいい雰囲気です。 勉強も野良仕事もいいけれど、こういうほんわかとした時間もたまには必要ですね。
エコビレッジも「CO2の削減!」「有機農業の推進」的な運動論に終始してはちょっと味気ないもの。自然相手に作物を作る行為は、おのずとアートや創作活動にもつながり、それらが相乗して心を耕すことになるんじゃないのかなあと思います。

0626 座学 「コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス」

第3回総合コースの座学は国際大学観光学部の吉岡宏高先生の講義、テーマは最近よく耳にする「コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス」でした。

市民活動がビジネス的センスを身につけて収益を得ていくコミュニティビジネスと、一般企業が営利活動の一環で地域課題の解決に貢献するソーシャルビジネス。いずれにしてもこれまで行政だけが担ってきた公共を市民のものにしていくために、これからの社会で不可欠な考え方だと思いました。また、利潤追求型の企業のあり方や労働環境に疑問を持つ人びと、自給的暮らしや半農半Xなどのライフスタイルを目指す人びとにとっても、一定の現金収入を得る手段として「CB、SB」は大きなヒントになりそうです。 ここでは、これまで「できるだけ安く、早く」という効率だけで計ってきた価値観の転換が必要です。ニッチなマーケットを的確に捉えて上手く仕組みを作れば、商売的には「食ってチョン」だけど、自分も地球も幸せな暮らしの第一歩になりそうです。

もっともそう簡単に「自分のやりたいこと」「世のため人のためになること」が即「生計」に結びつくものでないことは容易に想像がつきます。情熱だけ、アイデアだけの市民活動が時間とともに疲弊し、経営が成り立たなくなって崩壊することは少なくありません。あるいは補助金に飛びついて、「何のためにやっているのかわからない」仕事に忙殺される本末転倒パターンも危険です。上手にバランスをとりながら、社会のニーズを分析したり、行政や専門家などのサポートを得て、「売るべきもの」を「売れそうなもの」に転換していく戦略が肝要です。最終的な目標に向かってバランスをとりつつ、軸はずれないようという体制が大切だなと感じました。

エコビレッジでもグリーンツーリズムなどと関連させたコミュニティビジネスを考えたいと思っているところですが、どんな人をターゲットに、どんな体験をしてほしいのか、絞ったビジネス計画が必要だと再認識。勉強になりました。

2010年6月24日木曜日

0620 ガーデンで柳フェンスづくり

ガーデンの作物たちはおおむね安定してきましたが、スギナに侵食されつつあります。1週間前に取ったばかりなのに・・・。
午前中はあわててスギナの除草をしました。根の深い植物なので、なかなか根絶するのは難しく、(この辺の農家はスギナの根っこは地獄の門まで続いていると言うそうです)根気よく地上部を抑えて繁茂を防ぐしかつきあう方法はないでしょう。

もっとも、スギナにはいろいろな効能もあり、洋の東西を問わず昔は薬として用いられたようです。スギナ茶は今でも健康食品としても売られていますが、ケイ素やカルシウムを多く含み、悪いものを洗い流す力があって、潰瘍や糖尿病、出血、アトピーにも効くそうです。さっそく、ランチに料理してみました。よもぎやタンポポなど雑草多種の炒めものです。下茹でが十分でなかったのでかなり苦かったけれど、これは研究の価値がありそうです。

午後は柳のベッドを作りました。えこりん村の勝又さんが柳の扱い方を指導してくれ、地面に打ち込んだ焼き丸太に1本ずつ編んでいきました。簡単な作業の繰り返しですが、編みあがっていくと、なかなか可愛らしく雰囲気が出てきます。柳は曲がったものや完全に乾燥したものは折れてしまうので、加工しやすいように萌芽させたまっすぐの枝を使います。
レイズドベッドの中には透水シートを敷き、礫と黒土、有機堆肥を入れました。イギリスではこのレイズドベッドがポピュラーですが、腰の悪い人でも作業がしやすい、土の踏みつけがないので不耕起でも栽培できる、雑草管理がしやすいなどのメリットがあります。
作る労力は大変ですが、後々の維持管理を考えると場所によっては有効な手法だと思います。この中にはスイスチャードやラベンダーなどが入る予定です。
今から夏のガーデンパーティーが楽しみですね!

2010年6月17日木曜日

0613 畑の教室

坂本先生の今日の講義は土の話。

今では一般の慣行農家と質量ともに上回る生産を誇っている先生の恵子ガーデンですが、最初は火山灰で、スギナだらけの痩せた土地だったそうです。10年くらいは堆肥やぼかしなどを入れ、病害虫が発生したりする経験を経て、20年前から無施肥に変えています。有機堆肥と言えども十分に分解したものでなければむしろトラブルのもと。やり過ぎれば化学肥料の多用と同じく、養分過多の障害も出ます。作物は投与した窒素の25%しか活用しない。50%は水や大気中に流出、残りの25%は土中に残留するのだそう。だから、毎年同量の窒素を与えれば、土の中にどんどん溜まっていく、そして地下水に流れたものは、川を汚染するというわけです。
もっとも、最初から無施肥ではやはり無理もありそうです。そこの土と選ぶ作物にも寄りますが、まず販売されている種は化学肥料や農薬を前提に品種改良されたものだという理由も大きいです。坂本先生は長年自家採種して土地や環境にあった品種を作ってきたからこそ、無施肥でも収量が落ちないのでしょうね。
「でも与える肥料を半分にしたら、作物の利用できる量が半分になって足りなくなりませんか」

そこが植物と土の世界は複雑怪奇で、単純な比例計算では算出できないようです。作物が、周囲の養分を吸い上げる力や、土の中にある養分の形状などさまざまな因子が絡み合っているのです。

上の写真はトマトの根っこの標本。実に3.5メートルありました。それだけ深いところから養分や水分を得る力を作物が持っているんですね。それにしても、3.5メートルの根っこを掘るという作業を考えただけでも気が遠くなりそうです。
右はおにぎりの写真。ん?おにぎり?
正確に言うと、おにぎりに酢をまぶして酸性にしたものと、灰をまぶしてアルカリ性にしたものを土の上に4日置いたものです。酸性おにぎりでは納豆菌が、アルカリおにぎりではこうじ菌がそれぞれ活性し、発酵しているのがわかります。2つの容器の土は山からとってきたものとウチの畑のもの。ほとんど変わりがありません。
ウチの畑は粘土質で扱いが難しく、好天が続くと表面が割れるほど乾燥していかにも「貧相な土」に見えるのですが、坂本先生が、「土にいい土も悪い土もないんですよ」とおっしゃるとおり、見た目じゃわからないけど土中の微生物はちゃんと生きているんですね。やっぱり先生の言うとおり「いい土にするのは使う人間次第」なのかも・・・。

講義の後はいよいよトマトの定植。おっと、Coccoちゃんは手伝いに来てるのか、それとも邪魔しに来てるのかな?ぼかし肥も作りました。この解説は製作者の22世紀型野良人ブログに譲ります。


午後は田んぼの草取りをしました。今週の高温のせいか、たった1週間でイネもがっちりしてきたけれど、雑草もしっかり出てきています。まだたいしたことはないように見えますが、ここでしっかり取っておくと後が楽なんです。
それにしても、いつにもまして内容濃い教室でしたね。みなさん、暑い中、ご苦労様でした。


2010年6月6日日曜日

6月6日 美しいガーデン登場!

田植えが終わると同時にコモンハウスに移動して、午後はガーデニングの教室です。
今日は花や野菜苗の定植と、園路にレンガを敷き詰める作業をしました。

入れた作物はレタス、キャベツ、コールラビ、トマト、ピーマン、きゅうりのほか、バジルやレモンバームなどのハーブ類です。グリーンと紫の葉に、マリーゴールドやキンレンカの黄色やオレンジを組み合わせて彩り美しく植えました。レタスとキャベツ、トマトとバジル、きゅうりとチャイブなどはコンパニオンプランツでお互いに相手の成長を促す機能もあります。
前回作ったコンテナやハンギングバスケットも加わり、ぐっとゴージャスになりました。

来月はガーデン・パーティーや音楽ライブの企画もあり、それまでに植物が美しく成長してくれるといいなあと思います。

6月6日 田植え終了!


今日はいよいよ田植えの日。低温が続いて苗の成長が遅かったため、去年より2週間遅れの田植えとなりましたが、青空の美しい最高の日和となりました。

家族や友達も含め大人17人、小学生2人が参加し、4区画(約400㎡)を手で植えました。1期生の会員さん達が隣に3区画を借りており、昨日田植えをしたのですが、昨年まっすぐ植えられなかった反省をもとに、今年は印をつけた紐を張って植えました。それがとてもきれいに植えられているのを見習い、今日はその方式でやってみました。多少の揺れはありますが、おおむね直線になったと思います。

田植えは約2時間半で終了。終わった後はメノビレッジの昨年のお米でついたおいしいお雑煮や、越冬ジャガイモ(あま~い!)のランチを楽しみました。
田植えが終わってやっと1年が始まった気分です。よかった、よかった。

5月29~30日 エコビレッジ国際会議TOKYO

東京で開催されたエコビレッジ国際会議に参加してきました。

静岡や山梨、千葉など関東を中心とするエコビレッジレポートがあり、近年国内のあちこちで新しい動きが生まれていることを実感しました。今回の会議では、農山村のエコビレッジがテーマになっているとおり、いわゆるインテンショナルコミュニティ(意識的に作る共同体)だけではなく、既存の地域を再生し、エコアップ化を図るトランジションタウン運動や、福祉施設やコウハウジングと連携したまちづくり的な事例が多く見られました。

糸長先生曰く、「エコビレッジが変な集団だと思われたらダメだ」そうです。社会を変えていく活動として成長するために、政治や経済などとも積極的に関わっていくことが必要だというメッセージが基調講演でありました。ピークオイルや環境問題が深刻になっている昨今、行政やデベロッパーとも上手に連携していくことは、今後のエコビレッジのキーとなるでしょう。

インドやフィリピンなど海外での取り組みも印象的でした。アジア型のエコビレッジの特徴として、家族や地縁の結びつきがとても強いこと、その上でもともと地域の相互扶助的な仕組みが築かれていることがあげられていました。それらは、新たな価値観を導入しようとした際にハンディとなることもあり得ますが、自分たちの強みとして活かしていくべきだと思いました。