2010年7月29日木曜日

0724 「自然エネルギーを活用した農的生活」

第4回目の公開座学では、メノビレッジの荒谷登さんにご講演いただきました。
荒谷先生は北方系住宅の熱環境について研究され、外断熱や基礎断熱など住環境の改善推進を牽引する研究者です。同時に、メノビレッジの家族としてみずから農作業に関わり、セミ・セルフビルドで住宅の改築をされる実践者でもあります。収穫野菜を新鮮に保存するための氷床式冷蔵庫や、6月半ばまで残っている雪の断熱力を活かしてジャガイモ貯蔵などの装置も建設されています。ビニルハウスのパイプに断熱材(スタイロフォーム)をはめ込んだ貯蔵庫は見た目よりもかなり頑丈で、施工も簡単そう。実は、メノビレッジではこの貯蔵庫で、収穫からほぼ1年たった今でも昨年の芋をおいしく食べているのです。

私たちのところでも、昨年野菜の保存に挑戦しましたが、どれもあまり上手くいかず、保存が意外に難しいことを実感しました。地面に生けた大根や白菜は確かに長期保存可能ですが、高く積もった雪の中から取り出す作業は容易ではなく、また雪解け時期には浸水して野菜が傷んでしまいました。また、乾燥の不十分だった穀類や豆類は、家の中に置けばネズミの害にあい、密封するとかびたりして保存に苦労しました。自給自足的な暮らしを目指すには、栽培技術だけでなく、保存や加工、調理などの技術、そのために、本州で農的暮らしの一旦を担っている土間のような(北海道の寒さには馴染まないということでしょうか、消えてしまいましたが)室温の備わった作業スペースは慣用だと実感します。

荒谷先生は、寒地建築の知恵を、北海道の一次産業に活用できないかと工夫されているだけでなく、高齢者も若者も農村で生き生きと働くために、一次産業のワークシェアや協働のコミュニティについても提案されています。そのような助け合いの精神と仕組みは、実にエコビレッジのベースでもあり、荒谷先生のメノビレッジでの取り組みは、建築技術から派生してさまざまな点で示唆に富むお話でした。

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