2011年5月7日土曜日

コミュニケーション演習

「何でエコビレッジでコミュニケーション?」と思う人もいるかもしれません。でも、エコビレッジは集団の取り組みですから、その運営にコミュニケーションは重要です。また、限られた資源をみんなでシェアすることはこれからの世界にとって不可欠な考え方ですが、それも関係づくりが上手くできなければストレスが原因でやっぱり破たんするかもしれません。優れた技術も制度も、活かすためにはそれを運営する人のモチベーション維持や合意形成など、やっぱり組織づくりが欠かせないのです。


私が訪ねたヨーロッパのエコビレッジでは、どこもその部分を意識して話し合いのルールづくりやトレーニングを重ねていました。個人主義、民主主義の徹底したヨーロッパ人は、きっと自己主張も合意形成も得意なのだと思ったら決してそうでもなく、上手く表現できずにストレスを抱えたり、自己主張が激しいだけにいつまでもたっても何も決まらない、そんなコミュニティもたくさんありました。「なーんだ、日本人と同じなんだ」と思ったものですが、違いは、日本人がそのようなトラブルを「仕方ないこと」として諦めたり、トラブルを避けようとして見てみないふりをしたりするのに対して、彼らはコミュニケーションや合意形成の難しさを自分たちの弱点と客観的に認識し、積極的に改善しようと試みることです。何年も一緒に住んでいるメンバー同士でも、重要な会議には外部からファシリテーターを招いたり、メンバー全員が外でコミュニケーション研修を受けたりして努力をしていることに感心しました。

今日のワークショップは、初めて出会う人同士が自分自身をいろいろな角度から表現し互いに知り合う、そして共同作業を通じてグループとしての意識づくりをすることを目的に行いました。講師はNPO法人コンカリーニョの斉藤ちずさん。普段の会話ではなかなかしないような情報交換ができ、寸劇ワークではそれぞれの隠れた才能を垣間見たり、思いを知ることができ、単純にとても楽しかったです。

コミュニケーションワークの成果と言えるでしょうか。夜はチームワークよろしく、みんなでコモンハウス付近に自生している野草を使ったフルコースで晩御飯。ギシギシのイタリア風炒め物、フキの煮物、土筆の卵とじ、エゾニュウのおひたし、あさつきのおひたし、キクイモの酢の物やジャガイモのサラダはエコビレッジ産ですが・・・畑にはまだ実りのないこの季節でも充実のメニューで豊かな自給生活が楽しめることがわかりました。

夕食後は、ドキュメンタリー映画『アレクセイと泉』を鑑賞しました。舞台は、チェルノブイリ原子力発電所から約180kmの地点にあるベラルーシの小さな村、ブジシチェ。事故後の避難勧告によりいくつもの村が地図から消えていく中、この村でも当然、建物からも畑からも森のキノコからも放射能が検出されるのですが、不思議なことにこの「泉」はまったく汚染されていないのでした。 決して「放射能汚染に苦しめられる人々」「放射能とたたかう人々」を描いた映画ではなく、淡々とした、見ていて退屈にも感じられそうな村の日常を描いたものです。毎年畑を耕し、イモを収穫し、豚やガチョウを飼い、冬には籠を編んで過ごす自給自足の生活。そして、時に得られる現金収入で必需品を飼う傍ら、こっそり買ったウォッカを大事そうに抱えるおじいさんたちの姿など・・・(これが非常にかわいらしい)。ドラマチックではありませんが、彼らの生きる姿は「生きるとは何か」「豊かさとは何か」を伝えてくれているように思います。同じような問題を抱え、生き方の転換を迫られる現在の私たちに、重要なヒントを与えてくれているのではないでしょうか。

泊まりのプログラムは、みんなで食べたり寝たりする時間も互いを知り合いグループとしての結びつきを強めるのにとても有効です。
一気に仲良くなった会員さんたち、夏野草バージョンのフルコースもやりたい、と今から意欲満々でした。

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